これまで商品を探す際は、Googleなどの検索エンジンでキーワードを入力し、比較サイトや公式サイト、口コミなどを確認しながら購入を検討するのが一般的でした。

一方、近年ではAIに自分の悩みや希望を相談することで、条件に合った商品を提案してもらい、その特徴や違いを比較しながら購入を検討するという新しい選択肢が広がっています。

では、こうしたAIの回答に自社ブランドの名前が登場すれば、それで十分なのでしょうか。
名前が挙がることと、自社の公式サイトが回答の根拠として引用されることは別です。

「網戸を自分で張り替えたい」「床の傷を直したい」。
住まいのDIY・セルフメンテナンスに関する相談は、必要な材料や修理方法、購入先など多岐にわたります。
AIの回答では、自社のどのような情報が紹介され、どの公式ページが引用されているのでしょうか。
ブランド名の露出だけでは見えないこの違いを、今こそ確かめる必要があります。

プレティアジャパンがホームセンター10ブランドを対象に、5つの生成AIに対して80問をそれぞれ12回ずつ、計4,800回質問し、得られた有効回答4,783件を分析したところ、全10ブランドで言及率が公式サイト引用率を上回りました。
カインズは言及率34.1%、公式サイト引用率9.9%でともに首位。
さらに、質問内容やAIエンジンによっても引用先が変わる実態が見えてきました。

AIの回答に自社ブランドの名前が挙がっているのか。
それだけでなく、顧客の相談に答える情報源として公式ページが引用されているのか。
本記事では、3つの調査結果から、企業が確認すべき新たな視点を掘り下げます。

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4,783件のAI回答全文や引用元URLなど、詳細な調査結果を無料でご覧いただけます。

結果① 全10ブランドで言及率が公式サイト引用率を上回った

AIの回答にブランド名が登場することと、そのブランドの公式サイトが情報源として引用されることは、異なる指標として捉える必要があります。

カインズは言及率34.1%、公式サイト引用率9.9%で両指標の首位。
続くコーナンは言及率31.8%、引用率9.2%でした。
10ブランドすべてで、公式サイト引用率はブランド言及率を下回っています。

図1A|ブランド言及率ランキング
図1B|公式サイト引用率ランキング

※2つのグラフはそれぞれ異なる指標を示しています。数値を比較する際は、以下の表をご参照ください。

表1|ブランドごとの言及率・公式サイト引用率

ブランド 言及率 公式サイト引用率
カインズ 34.1% 9.9%
コーナン 31.8% 9.2%
コメリ 21.7% 4.9%
DCM 15.6% 4.4%
ビバホーム 10.1% 2.2%
ロイヤルホームセンター 9.4% 2.0%
ジョイフル本田 6.8% 0.3%
ナフコ 4.3% 1.2%
島忠・ホームズ 3.7% 1.4%
グッデイ 1.7% 0.1%

※割合の分母は有効回答4,783件です。1回答で複数のブランドが言及・引用される場合があります。

なお、ブランド言及率と公式サイト引用率は異なる指標であり、両者の差がそのまま改善余地を示すものではありません。
重要なのは、自社ブランドがどのような質問で言及され、どのような場面で公式サイトが引用されているかを把握することです。

AIの回答で公式サイトが引用されることで、ユーザーが商品詳細ページや関連情報にアクセスするきっかけになります。
ブランド名が登場するかだけでなく、自社の重点商品・サービスについて、どの質問でどの公式URLが引用されるかを確認するとよいでしょう。
競合の引用元と比べることで、改善対象となるページも見つけやすくなります。

調査レポートで質問別の引用元を確認

質問ごとのAI回答全文や引用元URLなど、詳しい調査結果はこちらからご確認いただけます。

結果② 質問内容によって、登場するブランドと引用元が変わる

同じDIY分野でも、購入先を探す質問と、修理方法を尋ねる質問とではAI回答の情報源が異なります。

今回は80問を「情報・知識」「おすすめ・推薦」「悩み」「購入・比較」の4つの意図に分けて計測しました。
購入先の比較や材料の購入に関する質問では対象ブランドが多く言及される一方、修理方法に関する一部の質問では、対象10ブランドの言及も公式サイト引用も0件となりました。

表2|質問ごとのブランド言及(代表例)

質問例 対象10ブランドの言及
「ホームセンター DIY 品揃え 比較」 59/60回答
「網戸 張り替え 材料 店舗 通販」 58/60回答
「ドア きしむ 直し方」 0/60回答
「ドアを開け閉めすると音がします。自分で直せますか?」 0/60回答

修理方法を尋ねる一部の質問では、対象10ブランドの名前が登場せず、YouTube動画や専門サイトなどが引用されるケースも見られました。

このように、ユーザーが求めている情報によって、AIの回答に登場するブランドや引用元は異なります。
企業にとっては、商品を探しているユーザーだけでなく、困りごとの解決方法を調べているユーザーに対して、自社がどのような情報を提供できるかを考えることも重要です。

さらに、全体の公式サイト引用率だけでは捉えにくい、相談内容ごとの引用傾向も見られました。

表3|相談内容ごとの公式サイト引用傾向(代表例)

ブランド・相談内容 確認された公式サイト引用
カインズ/網戸の張り替え 「網戸 張り替え 材料 店舗 通販」で37/60回答。 網戸2枚の材料・道具を探す具体的な質問でも35/59回答
DCM/床の傷の補修 「フローリング 傷 補修」で15/60回答。 「床についた傷は、どんな方法で直せますか?」で13/60回答
島忠・ホームズ/木材カットサービス 「木材 カットサービス おすすめ 店」で17/60回答。 「木材 カットサービス 店 比較」で14/60回答

DCMの総合公式サイト引用率は4.4%、島忠・ホームズは1.4%でしたが、床の傷の補修や木材カットサービスに関する質問では繰り返し引用されています。全体順位と重点領域での引用状況を分けて見ることが、対策を検討するうえで役立ちます。

例えば、自社が注力する商品・サービスを1つ選び、「使い方・悩み」「必要な材料」「購入先・比較」の質問をそれぞれ用意して、ブランド名の言及状況と公式URLの引用状況を比較する方法が考えられます。競合や専門サイトの引用元も確認すると、自社の商品詳細ページ、FAQ、使い方・メンテナンス情報で補強したい内容を整理しやすくなります。

結果③ AIエンジンによって公式サイト引用率の首位が変わる

AIごとに公式サイトの引用傾向は異なり、首位となるブランドにも違いが見られました。

総合公式サイト引用率はカインズが1位でしたが、ChatGPTとGeminiではコーナンが首位でした。Google AI Mode、Google AI Overview、Copilotではカインズが首位となっています。

表4|AIエンジン別・公式サイト引用率の1位ブランド

AIエンジン 公式サイト引用率1位
ChatGPT コーナン
Gemini コーナン
Google AI Mode カインズ
Google AI Overview カインズ
Copilot カインズ

特定のAIだけを見て自社の露出状況を判断すると、別のAIでの引用の違いを見落とすことがあります。自社の顧客が利用すると想定されるAIを踏まえ、同じ質問を複数のAIで比較し、引用されるページや競合との違いを確かめるとよいでしょう。

調査からの示唆:自社の重点領域からAI検索上の課題を見つける

今回の調査は、ブランド名が言及されることと公式サイトが引用されることの違いに加え、質問内容やAIエンジンによって引用元が変わることを示しました。

ホームセンターのEC・マーケティング担当者には、まず自社が重視する商品・サービスを決め、顧客が実際に相談しそうな質問から調べることをおすすめします。そのうえで、以下の順に進めると改善対象を整理しやすくなります。

  1. 重点商品・サービスに関する「悩み」「必要な材料」「購入先」などの質問を選ぶ。
  2. 複数のAIでブランド言及の有無と、引用された公式ページのURLを比較する。
  3. 競合や専門サイトの引用状況から、自社の既存ページに不足する情報を検討する。
  4. 商品詳細ページ、FAQ、使い方・メンテナンス情報などの改善候補を決め、再計測する。

言及率の全体順位だけでは見えない課題を、重点領域ごとの質問と引用元URLから明らかにすることが、AI検索対策の実務的な出発点になります。

調査概要

項目 内容
調査対象 カインズ、コーナン、コメリ、DCM、ビバホーム、ロイヤルホームセンター、ジョイフル本田、ナフコ、島忠・ホームズ、グッデイ
対象AI ChatGPT、Gemini、Copilot、Google AI Mode、Google AI Overview
調査テーマ 住まいのDIY・セルフメンテナンスに関するAI検索の言及・公式サイト引用
質問設計 80問(情報・知識/おすすめ・推薦/悩み/購入・比較)
質問形式 キーワード/曖昧な自然文/具体的な自然文
調査期間 2026年10月14日~16日
計測回数 各質問・各AIに対して1日4回×3日間(12回)
回答数 4,800件(有効回答4,783件)
計測・集計 株式会社プレティアジャパン/GEO・LLMO対策サービス「genrank」

※本レポートの数値・順位は、調査対象の質問とブランド名・公式URLの判定ルールに基づきます。市場シェア、売上順位、企業全体の品質評価を示すものではありません。また、クリック数や実際のサイト流入、購入・申込みへの影響は今回の計測対象に含まれません。

GEO/LLMO対策サービス「genrank」について

今回の調査に使用した「genrank」は、複数の生成AIにおけるブランドの言及状況や公式サイトの引用状況を計測し、AIが参照しやすいコンテンツの生成・掲載から、改善・再計測までを支援するサービスです。

既存サイトの商品詳細ページやFAQなどをもとに、AIが理解しやすいHTMLコンテンツやJSON-LD(構造化データ)を生成し、既存サイトへの掲載・実装までをサポートします。大規模なサイト改修を前提とせず、重点領域での引用状況を確認しながら改善を進めることができます。

AIの回答でブランド名が挙がるだけでなく、顧客の質問に答える情報源として公式サイトが引用されるために。 自社の言及・引用状況を把握し、コンテンツの改善と再計測を進めたい企業向けに、genrankのサービス内容と支援範囲をまとめています。