ECサイトの検索クエリを見ると、「どの商品がよく検索されているか」は分かります。
一方、AI接客や自然文検索では、
雨の日でも使えて、通勤にも履けるシューズが欲しい
初めて大会に出るので、初心者でも使いやすいものを探している
といった、より具体的な言葉が入力されるようになります。
そこには商品名だけでなく、使う場面、重視する条件、不安や期待まで含まれています。
では、こうした検索クエリからユーザーの意図をどう読み取ればよいのでしょうか。
今回は、検索クエリを見るときに押さえたい5つの視点を紹介します。
1. 目的|何を探しているのか
最初に見るのは、ユーザーが何を探しているのかです。
例えば、
- トップス
- シューズ
- インナーウェア
- ランニングシューズ
などです。
まず検索の対象を整理することで、その後に続く条件や文脈を読み取りやすくなります。
2. シーン|どんな場面で使いたいのか
同じ商品を探していても、使う場面によって求めるものは変わります。
例えばシューズなら、
- 雨の日に使いたい
- 大会で履きたい
- 通勤にも使いたい
- 日々のランニングで使いたい
といった違いがあります。
商品そのものだけでなく、「いつ・どこで・何のために使うのか」を見ることで、そのユーザーが求めている条件が具体的になります。
3. KBF|何を基準に選んでいるのか
KBFとは「Key Buying Factor」の略で、ユーザーが商品を選ぶときに重視する基準です。
例えば、
- 機能・性能
- デザイン
- サイズ
- 価格
- 対象年齢や性別
などがあります。
同じランニングシューズを探していても、
「軽さを重視する人」
「普段着にも合わせやすいデザインを重視する人」
「価格を重視する人」
では、商品を選ぶ理由が異なります。
KBFを見ることで、そのユーザーが何を比較軸にしているのかが分かります。
4. RTB|何があれば「これなら大丈夫」と思えるのか
RTBとは「Reason to Believe」の略で、ユーザーが商品を信頼するための根拠です。
例えば、
- ランキングで人気がある
- SNSで紹介されている
- レビューが多い
- 使用実績がある
といった情報です。
ユーザーは商品の機能だけを見て購入を決めるとは限りません。
「この商品を選んでも大丈夫そうだ」と判断するために、何を求めているのか。
それを見るのがRTBです。
5. センチメント|どんな不安や期待を持っているのか
最後は、検索しているときの感情です。
例えば、
- 自分に似合うか不安
- サイズが合うか心配
- 失敗したくない
- もっとこういうデザインが欲しい
といった言葉です。
こうした表現には、商品スペックだけでは分からない、ユーザーの迷いや期待が表れています。
この感情まで捉えることで、商品を提示するだけでなく、何を説明すれば安心して選べるのかまで考えられるようになります。
1つの検索クエリを5つに分けてみる

例えば、
雨の日の通勤にも使えて、軽くて、レビュー評価の高いシューズが欲しい。濡れて不快になるのは避けたい
という相談があったとします。
5つの視点で整理すると、
目的
シューズを探している
シーン
雨の日の通勤
KBF
軽さ
RTB
レビュー評価の高い
センチメント
濡れて不快になるのを避けたい
となります。
単に「シューズ」と集計する場合と比べると、ユーザーがどのような条件で商品を選ぼうとしているのかが、かなり具体的に見えてきます。
検索クエリを整理すると、訴求の切り口も見えてくる

5つの視点で検索クエリを整理すると、広告や特集、商品ページで何を伝えるべきかも考えやすくなります。
例えば、
「価格」より「機能」を重視する検索が多い
→ 価格訴求より、性能や使いやすさを前面に出す
「雨の日に使いたい」という検索が多い
→ 雨の日向けの商品特集を企画する
「サイズが合うか不安」という声が多い
→ サイズ選びの情報を商品ページに充実させる
といった形です。
検索クエリを見ることで、EC担当者の経験や感覚に、ユーザーが実際に使っている言葉と選択基準を加えることができます。
検索意図に合った訴求は、成果にもつながり始めている
こうした考え方は、ECや広告の領域でも広がり始めています。
Google Adsは、AI時代の検索ではユーザーのクエリがより複雑で会話的になり、その中に深い意図が表れると説明しています。
そして、広告側もその意図に合わせてメッセージや遷移先を最適化することが重要だとしています。
また、EC検索におけるCVR予測の研究では、検索クエリやユーザー行動ログなどを活用して検索CVRを予測・改善することで、オンラインA/Bテストにおいて検索CVRの向上が確認されています。
AlibabaのDouble 11に関する研究でも、販促時の購買パターンを過去データから捉え直し、広告システムに反映することで、CVRや収益性の改善につながったことが示されています。
検索や行動に表れるユーザーの文脈を読み取り、広告や販促に反映することは、成果改善につなげる実務的なアプローチの一つになっています。
まとめ|検索クエリを「購買前のデータ」として見る
検索クエリには、
- 何を探しているのか
- どんな場面で使いたいのか
- 何を基準に選んでいるのか
- 何を信頼の根拠にしているのか
- どんな不安や期待を持っているのか
といった情報が含まれています。
これらを、目的・シーン・KBF・RTB・センチメントの5つに分けて見ることで、検索クエリをユーザーの購買前の意図を理解するデータとして活用できます。
商品が検索された回数を見るだけでなく、「なぜその商品を探しているのか」まで読む。
そこから、広告・特集・商品ページの訴求を磨くヒントが見えてきます。
genserで検索クエリを5つの視点から分析
株式会社プレティアジャパンが提供する「genser」では、ユーザーの検索クエリを、目的・シーン・KBF・RTB・センチメントの5つの視点から分析し、レポートとして可視化できます。
ユーザーが何を探しているかだけでなく、その背景にある目的や選択基準、不安まで捉えることで、広告・特集・商品ページなどの改善に活用できます。
出典
Google Ads / Business Insider
「The rise of complex queries is reshaping Google Search. Here's what it means for marketers.」
arXiv
「On the Practice of Scaling Search Conversion Rate Prediction」
arXiv
「Capturing Conversion Rate Fluctuation during Sales Promotions: A Novel Historical Data Reuse Approach」