
「最近の若者は、欲しいものを“ググらずに”探して買っているらしい」
こうした話を耳にする機会が増えています。
最近の若者、特にZ世代では、困ったときや誰かに相談したいとき、まず生成AIに話しかけることが身近になりつつあります。
ChatGPTなどを使って情報を集めるだけでなく、自分の状況を伝えながら考えを整理したり、選択肢を絞ったりする使い方です。
Forbesが紹介した調査では、Z世代の41%が仕事上の判断において人間よりもAIを信頼していると回答し、AIを使う頻度は平均で週12回に達していました。
AIは、単に「検索するためのツール」ではなく、状況を伝えて相談する相手へと役割を広げています。
この変化は、オンラインショッピングにも表れ始めています。
キーワード検索から「相談」へ

これまでのECでは、ユーザーが商品名やカテゴリを検索窓に入力し、表示された商品の中から自分で比較することが一般的でした。
たとえば結婚式に着ていく服を探す場合、
「ドレス レディース 結婚式」
といったキーワードを入力し、表示された商品を一つずつ見ながら、自分の条件に合うものを探していきます。
一方、生成AIには商品名が決まっていない段階から相談できます。
たとえば、
友人の結婚式に出るけど、派手すぎず、寒い時期なので肩が隠れる青系のドレスがいい。予算は3万円。できれば一緒に使うバッグも提案して。
と伝えることができます。
ここには、
- 友人の結婚式という利用場面
- 派手すぎないという好み
- 寒い時期という季節
- 肩が隠れるという条件
- 青系という色
- 3万円という予算
- バッグも一緒に探したいという別の目的
まで含まれています。
従来の検索では、ユーザー自身がこれらをキーワードへ分解して検索する必要がありました。
AIとの対話では、こうした情報を一つの「相談」としてそのまま伝えられます。
商品名ではなく「どんな買い物をしたいか」を相談する
同じ変化は、さまざまな商品選びで起きます。
休日のお出かけ用の服を探す場合
従来の検索なら、
「アウター 春 レディース」
と入力するかもしれません。
AIには、
休日に友達とカフェに行く。今年のトレンドに合うような淡い色のアウターが欲しい。予算は2万円以内。ついでにその友達の誕生日が近いので、普段使いできるプレゼントも探したい。
と相談できます。
単に「春物のアウター」を探しているのではありません。
ユーザーが知りたいのは、自分の予定や予算、好みに合う選択肢です。
一人暮らし向けの家電を探す場合
従来なら、
「エアフライヤー 小型」
と検索します。
AIには、
一人暮らしでキッチンが狭い。価格よりも、とにかくコンパクトで、出しっぱなしでもおしゃれなエアフライヤーが欲しい。
と相談できます。
この場合も、「小型」というスペックだけではありません。
「狭いキッチン」「出しっぱなしにしたい」「デザインも重視したい」という生活の文脈まで含まれています。
AIはこうしたコンテキストから、利用場面、予算、好み、重視する条件などを整理し、商品候補とその理由を提示できます。
Z世代の「相談」に答えられるECへ
こうした購買行動の変化を考えると、EC事業者側も「どんなキーワードで検索されるか」だけを考えていては不十分です。
これから重要になるのは、
- どのような場面で使いたいのか
- 何を重視して選んでいるのか
- どんな失敗を避けたいのか
- なぜその商品を探しているのか
といった、Z世代ユーザーの意図(インテント)を受け止めることです。
そのため、ECサイトの検索窓にも役割の変化が求められます。
キーワードに一致する商品を並べるだけの場所から、ユーザーが「こんなものを探している」と相談できる入口へ。
そして検索結果も、商品だけを返すのではなく、
「あなたの条件なら、この商品が合います。理由はこうです」
と説明できることが重要になります。
当社が提供するAIエージェンティックコマースSaaS「genser」は、ユーザーが入力した自然な文章から意図や条件を読み取り、そのECサイト内の商品から条件に合う候補を提示します。
単に商品を並べるのではなく、ユーザーの問いに合わせて「なぜこの商品が合うのか」という理由まで提示することで、検索窓を商品検索の入口から、買い物の相談窓口へ変えていきます。
商品を「検索させる」のではなく、ユーザーの買い物を「相談を聞きながら一緒に考える」。
これが、AI時代のECに求められる新しい購買体験です。
出典
- Bryan Robinson, Forbes(2025)「Gen Z Trust AI More Than Humans In Their Careers, New Study Shows」