スーツ選びをAIに相談する時代、自社ブランドの情報はどんな質問で届くのか
「営業部へ異動するので、外回りでも動きやすいスーツが欲しい」「管理職になったので、商談で落ち着いた印象のスーツを選びたい」。
店舗で試着したり店員に相談したりするのに加え、こうした仕事上の希望をAIに伝えてスーツを探す選択肢が広がっています。
では、AIに「洗いやすいスーツ」「上品に見える」「細身体型に合う」などと尋ねたとき、どのブランドが候補に挙がるのでしょうか。
また、着こなしや手入れを相談した際には、どの企業の公式サイトが引用元として示されるのでしょうか。
ブランド名が回答に登場することと、公式サイトのURLが引用されることには違いがあり、質問する内容によって登場するブランドも変わります。
EC事業者に求められるのは総合順位を見るだけでなく、自社が注力するスーツが「どんな質問」で候補に挙がり、「どの公式ページ」が引用されるかを確かめることです。
そこでプレティアジャパンは、ビジネススーツ10ブランドについて主要5つの生成AIに計4,800回質問し、有効4,648回答を分析しました。
「洗いやすいスーツ」ではAOKIが94.0%(110/117回答)、「上品に見えるスーツ」ではUNITED ARROWSが62.0%(62/100回答)でそれぞれ言及率首位、使用シーンや重視する条件が異なる質問では、上位に挙がるブランドの顔ぶれが変わることがわかりました。
一方、全体の言及率首位はAOKI25.0%、公式サイト引用率首位は洋服の青山13.7%。質問する内容と指標によって異なる結果が見られました。
調査レポート・お問い合わせ
4,648件のAI回答全文や引用元URLなど、詳細な調査結果を無料でご覧いただけます。
結果① 言及率首位と公式サイト引用率首位は異なる
まずは、ビジネススーツ10ブランドのAI回答における全体的な傾向を確認します。
全4,648回答では、AOKIが言及率25.0%(1,161回答)で最多でした。
次いでSUIT SELECTが22.3%(1,038回答)、洋服の青山が22.0%(1,023回答)。
一方、公式サイト引用率は洋服の青山が13.7%(639回答)で1位、SUIT SELECTが13.1%(610回答)、AOKIが9.6%(444回答)でした。

この結果から、ブランド名が回答に挙がる頻度と、公式ページのURLが示される頻度は必ずしも一致しないということがわかります。
そのため、まず自社と競合の両指標を確認し、その違いを具体的な質問内容と結び付けて調べることが重要です。
なお、2つの割合の差はサイト流入の影響を示すものではありません。
結果② 「洗いやすいスーツ」「上品に見えるスーツ」など、質問によって首位ブランドが変わる
公式サイトの情報が表示される場面を調べるには、ブランドの全体順位だけでは足りません。
次に、AIへどのような相談をしたときに各社が登場するのかを見ていきます。
今回の80問を「情報・知識」「おすすめ・推薦」「悩み」「購入・比較」の4つの質問意図に分けると、AI回答で対象10ブランドのいずれかが言及された割合に差が見られました。
特に「おすすめ・推薦」20問では、1,103回答のうち1,026回答(93.0%)で対象10ブランドのいずれかが言及され、4分類で最も高い割合でした。
一方、「情報・知識」は言及あり10.6%でした。

図2が示すように、ブランドを購入候補として尋ねる質問と、選び方や着こなしを尋ねる質問では、ブランド名が回答に登場する割合と、公式サイトのURLが引用される割合の組み合わせが異なります。
「おすすめ・推薦」20問を、2問ずつ10の質問テーマで比較
そこで、4分類のうち対象10ブランドのいずれかが言及された割合が93.0%と最も高かった「おすすめ・推薦」20問を詳しく見ました。
2問ずつ10のテーマに分け、各テーマの有効回答を分母にブランド言及率を比べたものが図3です。
特に「洗いやすいスーツ」はAOKIが94.0%(110/117回答)で首位でした。
一方、「上品に見えるスーツ」はUNITED ARROWSが62.0%(62/100回答)で首位となりました。
洗いやすさを求める質問と、上品な印象を求める質問では、上位ブランドの顔ぶれが異なります。
仕事の場面による違いも見られました。
「営業部への異動」を想定した質問ではSUIT SELECTが80.6%(87/108回答)で言及率首位だったのに対し、「管理職・商談での印象」を尋ねた質問ではUNITED ARROWSが45.8%(54/118回答)で首位となりました。
営業部への異動に伴うスーツ選びと、役職や商談での見え方を意識したスーツ選びでは、上位ブランドが異なります。
体型と季節による違いでは、「細身体型・フィット感」の質問でSUIT SELECTが91.0%(101/111回答)と首位になりました。
一方、「夏の通勤」を想定した質問ではAOKIが75.0%(81/108回答)で首位となりました。
体型に合うスーツを求める質問と、夏場の通勤で着るスーツを探す質問でも、上位ブランドが変わっています。
なお、「一般的なおすすめ」ではSUIT SELECTが85.0%(102/120回答)、「30代のスーツ選び」でもSUIT SELECTが66.3%(65/98回答)で、それぞれ言及率首位でした。

図3では、10テーマそれぞれの上位ブランドと割合を比較できます。
なお、数値はテーマごとの回答数を分母としており、同じAIに異なる質問をした結果です。
商品の性能・品質や実際の着用適性の優劣を示すものではありません。
AI回答の総合順位だけで判断せず、自社が注力する商品について「洗いやすいか」「上品に見えるか」「外回りで動きやすいか」など顧客が実際に尋ねるテーマ別に言及状況を確認することをおすすめします。
あわせて、その質問で引用元として表示される公式ページも確かめることが重要です。
質問別の引用元を詳しく調べたい方へ
80問のAI回答全文と引用元URLを収録した無料レポートをご利用いただけます。
結果③ ブランド名が出ない回答でも、企業の公式ページが引用されている
AIがスーツの手入れや選び方を説明するとき、その回答文にブランド名を書かず、企業の公式ページを引用元URLとして表示することがあります。
例えば、洋服の青山では、本文にブランド名が登場しない回答でも、272回答で公式URLが引用元として表示されていました。
これは洋服の青山の公式URLが表示された639回答の42.6%に当たります。
同様のケースは、はるやま239/298回答(80.2%)、SUIT SQUARE175/323回答(54.2%)、AOKI130/444回答、SUIT SELECT209/610回答でも確認されました。
重要なのは、AIの回答に企業名が書かれていなくても、その企業のページへのリンクが表示される場合があることです。
例えば「シングルスーツとダブルスーツの違い」を聞く120回答では洋服の青山の公式URLが47回答(39.2%)、「管理職のスーツの着こなし」を聞く119回答でははるやまの公式URLが43回答(36.1%)で表示されました。
質問と対応する具体的なページにも違いが見られました。
次の表は、元データで表示が確認された公式URLの例です。
| ブランド | 引用元として表示されたページの例 | 表示された回答数 |
|---|---|---|
| 洋服の青山 | オーダースーツの解説記事 | 66 |
| SUIT SQUARE | 洗えるスーツの解説記事 | 52 |
| AOKI | フォーマルに関するコラム | 38 |
| ORIHICA | スーツの汗対策に関するコラム | 32 |
ページ別の割合は、各URLが示された回答の割合です。同じ回答に複数URLが含まれる場合があります。
候補に挙がるブランドと、公式URLが表示される企業が異なる場合も
UNITED ARROWS、BEAMS F、SHIPSのいずれかが言及された570回答のうち、195回答(34.2%)では、同じ回答に対象スーツ専門店7ブランドの公式URLも表示されました。
購入候補として名前が挙がるブランドと、引用元URLとして表示される企業が異なるケースがあることが確認できました。
EC事業者は、重点商品に関連する質問でどのページが表示されるかを確認するとともに、ブランド名が出ない回答の引用元URLも調べるとよいでしょう。
商品詳細ページだけでなく、着用場面、洗濯、補正、マナーなどの解説情報も確認対象になります。
結果④ 同じ質問群でも、使うAIによって引用される公式サイトは異なる
5つのAIを分けて見ると、全体ランキングとは違う順位が現れました。
ChatGPTの960回答ではAOKIの言及率31.8%・公式サイト引用率19.2%がともに最多。
一方、Google AI Overviewの808回答では、AOKIが言及率24.6%で最多でしたが、公式サイト引用率は洋服の青山が28.2%で首位でした。
GeminiではSUIT SELECTが言及率24.5%・公式サイト引用率10.0%でいずれも最多。Copilotでは洋服の青山が言及率19.8%・公式サイト引用率17.0%で上位でした。

図4では、ChatGPTでAOKIの公式サイト引用率が19.2%だった一方、Google AI Overviewでは洋服の青山が28.2%で首位となっています。
どのAIの回答を見るかによって、公式サイトが引用元として示される状況は異なります。
自社の重点商品の質問を複数AIに投げかけ、どの公式ページが引用されているかを比較し、情報を確認・改善する対象を見極めることをおすすめします。
補足|購入条件・予算・質問の書き方でも差が見られた
スーツの買い方に関する質問でも、回答は一様ではありません。
例えば既製スーツとオーダースーツを比較した119回答では、洋服の青山の公式URLが73回答(61.3%)で表示されました。
仕事用と式典用の兼用について尋ねた120回答では、AOKIの公式URLが57回答(47.5%)、はるやまが48回答(40.0%)でした。
予算3万円台で店舗を探す特定の質問(Q72、有効60回答)では、SUIT SELECTが55回答(91.7%)、洋服の青山が54回答(90.0%)、AOKIが53回答(88.3%)で言及されました。
これは他の予算帯との同条件比較ではなく、3万円台の質問に対する結果です。
また「購入・比較」の設問では、短いキーワード型578回答のうち対象ブランドへの言及ありが385回答(66.6%)、文章型597回答では161回答(27.0%)でした。
今回取り上げたのは、多数の質問から得られた結果の一部です。
詳細レポートでは、80問それぞれの回答と引用元URLを確認し、自社が重視する具体的な質問を調べられます。
調査レポート・お問い合わせ
4,648件のAI回答全文や引用元URLなど、詳細な調査結果を無料でご覧いただけます。
調査からの示唆
今回の調査で際立ったのは、顧客が何を求めて質問するかによって、AI回答に登場するブランドが大きく変わることです。
「洗いやすいスーツ」ではAOKIが94.0%、「上品に見えるスーツ」ではUNITED ARROWSが62.0%で、それぞれ言及率首位でした。
また、ブランド名の言及率と公式サイトURLの引用率は異なる指標で、全体の首位ブランドも一致しませんでした。
ビジネススーツを販売するEC事業者は、まず自社が注力する商品の特徴や着用場面を洗い出し、「動きやすいスーツは?」「管理職の商談に合うスーツは?」など、実際の購入者に近い質問を用意することをおすすめします。
そのうえで、自社と競合の言及状況だけでなく、どの公式ページが引用されるのかを確かめ、商品詳細、手入れ、サイズ選び、着こなしなどの情報が顧客の疑問に答えられる内容になっているかを点検します。
全体順位だけでは見落としやすい質問別・AI別の違いを継続して調べることで、どの商品や情報ページから改善を進めるべきかを具体的に検討できます。
調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査対象 | 洋服の青山、AOKI、はるやま、コナカ、ORIHICA、SUIT SELECT、SUIT SQUARE、UNITED ARROWS、BEAMS F、SHIPS |
| 調査対象AI | Gemini、Google AI Overview、ChatGPT、Google AI Mode、Copilot |
| 調査期間 | 2026年10月24日~25日 |
| 計測規模 | 80問×5AI×12回=4,800件(有効4,648回答) |
| 質問設計 | 情報・知識/おすすめ・推薦/悩み/購入・比較の4意図、各20問 |
| 言及の定義 | 回答本文に対象ブランド名(表記ゆれを含む)が登場した回答の割合 |
| 公式サイト引用の定義 | 対象ブランド自身の日本向け公式ページURLが引用元として表示された回答の割合 |
| 計測・集計 | 株式会社プレティアジャパン |
※本レポートの数値・順位は、調査対象の質問とブランド名・公式URLの判定ルールに基づきます。市場シェア、売上順位、企業全体の品質評価を示すものではありません。また、クリック数や実際のサイト流入、購入・申込みへの影響は今回の計測対象に含まれません。
GEO/LLMO対策サービス「genrank」について
今回の調査に使用した「genrank」は、複数の生成AIにおけるブランドの言及状況や公式サイトの引用状況を計測し、AIが参照しやすいコンテンツの生成・掲載から、改善・再計測までを支援するサービスです。
既存サイトの商品詳細ページやFAQなどをもとに、AIが理解しやすいHTMLコンテンツやJSON-LD(構造化データ)を生成し、既存サイトへの掲載・実装までをサポートします。大規模なサイト改修を前提とせず、重点領域での引用状況を確認しながら改善を進めることができます。
AIの回答でブランド名が挙がるだけでなく、顧客の質問に答える情報源として公式サイトが引用されるために。 自社の言及・引用状況を把握し、コンテンツの改善と再計測を進めたい企業向けに、genrankのサービス内容と支援範囲をまとめています。